看護師や保健師のほとんどは女性であり、出産や育児のタイミングで働き方を見つめ直す必要があります。
ただし保健師は、医療系の職種の中でも離職率は低めです。
つまり保健師の仕事は、出産後の職場復帰が比較的難しくなく、子育てと両立している方が多いことを示しています。
育児と両立しやすい保健師の職場として、行政保健師、学校保健師、そしてパート・派遣保健師を取り上げます。
それぞれの仕事内容や勤務先について、働きやすい理由や注意が必要な点についてまとめます。
目次(もくじ)
行政保健師として働く
公務員として安定して働けるうえ、産休・育休制度がかなり充実しているのが行政保健師です。
育児との両立におすすめの行政保健師の仕事について説明します。
行政保健師とは?
保健所、保健センターなどの公的施設で働くのが、行政保健師です。全国で働く保健師の約7割が、この行政保健師です。
地域住民の健康増進、安全な暮らしのため、予防治療をメインに、赤ちゃんから高齢者まで幅広くサポートする役割を持ちます。
具体的には、乳幼児の予防接種や定期健診、成人の健康診断、家庭への訪問指導、地域に向けた健康相談や講習会の企画、運営などを行いながら、あらゆる年代の方々への予防治療を実践します。
広域をカバーする保健所では、幅広い医療従事者とともに、新たな疾病への対応の検討や将来的な問題の予測なども行います。
<関連記事>:行政保健師の仕事内容は?
子育てをしながらでも働きやすい理由は?
まずは産休・育休制度の充実です。
行政であれば、正職員の産休・育休時には必ず臨時職員を採用するため、他の職員への気兼ねなく、産休・育休をとることが出来ます。
また母子保健分野への関与が大きく、出産・育児経験を仕事に生かせるのも魅力です。
子育て経験者が多く、子供の病気などで急に休まなければならない場合にもストレスが少なくて済みます。
勤務体制も働きやすさの理由です。夜勤がなく、土日祝日が休みで、カレンダー通りに働くことが出来ます。
そのため、子育てや家事の時間を確保しやすくなります。このように、公務員として福利厚生が充実しているのもメリットです。
ただし災害などの緊急時には、地域住民の安全のため24時間体制で業務にあたることとなります。
行政保健師に転職する時の注意点は?
行政保健師になるには、保健師資格だけでなく公務員採用試験に合格する必要があります。
採用試験には年齢制限があることが多く、子育てしながら受験勉強するのは大変です。目指すなら早い方が良いでしょう。
行政保健師の配属施設は広範囲のエリアにあるため、通勤時間が長くなるケースがあります。
あまりに遠い施設では通勤に時間がとられ、育児に支障をきたします。
行政保健師には夜勤はありませんが、残業時間が多い傾向があります。これは職場環境によるため、事前にしっかり確認しておきたい点です。
学校保健師として働く
小学校~大学などの教育施設で働く学校保健師も、子育てと両立しやすい職種です。
養護教諭資格の必要性についても具体的に紹介します。
学校保健師とは?
学校保健師は、保育園、幼稚園などの保育施設、小中学校、高校、大学、専門学校など、様々な教育施設が勤務先となります。
施設内の「保健室」で、生徒や教師、スタッフの心身の健康管理・指導、予防活動、衛生管理などを行います。
健康診断の実施や感染症予防の啓蒙、ケガや急病に対しての対応も学校保健師の大切な業務です。
メンタル面で問題を抱える生徒へのケアも担います。
公立の教育施設の保健室で働くには、保健師資格にプラスして養護教諭の資格が必要です。
一方、私立学校では養護教諭の設置義務がないため、保健師資格だけでも学校保健師に応募、勤務することが可能です。
<関連記事>:【保健室の先生】学校保健師の仕事内容は?
子育てをしながらでも働きやすい理由は?
教育施設なので夜勤がなく、多くの場合、土日祝日休みなどカレンダー通りの定時勤務ができます。
専門学校など施設によっては、夕方以降も勤務が必要な場合もあるかもしれませんが、急病人などが出ない限り、決まった時間で働き、子育てや家事との両立をしやすくなります。
子供を相手にするため、子育ての経験が活かされるシーンもあるでしょう。
学校保健師に転職する時の注意点は?
施設に対し、学校保健師は一人である場合がほとんどです。
生徒たちとの楽しいコミュニケーションを期待できますが、自分一人で色々な仕事をこなさなければならないハードさがあります。
保健師資格だけの場合、応募先が私立の施設に限られてきますし、養護教諭資格は就職の際の有力なアピールポイントになります。
出産・育児と両立しやすいということは、新規の募集が少なく、競争率が高いということです。
学校保健師を目指すなら、養護教諭資格を取っておいたほうが有利になるでしょう。
パート・派遣の保健師として働く
医療現場で働きたいけれど、残業や夜勤は出来ないという場合に、パートやアルバイト、派遣で働くという方法があります。
どのような職場があるのか、それぞれの魅力や注意点を確認します。
パート・派遣の保健師の働き方は?
パート、派遣の保健師は、子育てに合わせた勤務時間の仕事を選ぶことが出来ます。
パートやアルバイトは勤務先に直接応募、雇用されますが、派遣では派遣会社に登録、雇用されて、そこから勤務先へと派遣されるという形態です。
派遣の場合には、1年など限られた契約期間で就業し、その先の更新があるかどうかは勤務先次第となります。
保健師の求人先は、公的機関では健診センターや教育施設、一般企業では介護施設やコールセンターなどが見られます。
業務内容は、保健指導や相談対応、保育・事務業務、他職員の支援業務などです。
<関連記事>:アルバイト(パート)保健師として働きたい!
子育てをしながらでも働きやすい理由は?
医療や介護の仕事では残業が多くなりがちで、夜勤を避けられない職場もありますが、パートや派遣であればそのような心配がほとんどありません。
時間を区切って働き、子育ての時間を確保しやすくなります。
院内保育施設を設けるところもあり、子供のすぐ近くで働くことが出来、安心な点もメリットです。
子育てがひと段落したら、環境によってはそのまま正職員へ異動し、再びバリバリと働ける可能性があります。
パート・派遣の保健師に転職する時の注意点は?
パート、派遣の保健師は、正職員と比べれば給与が不安定になりがちです。
繁忙期では稼げても、それ以外の時期は稼げなかったり、短時間勤務の保育施設では時給1,000円以下という求人も見られます。
保健師の業務内容では、フルタイムとパートタイム、勤務時間での壁がほとんどない傾向があります。
看護師の場合、パートでは任せられない仕事が出てきますが、保健師では正社員と同じ業務内容や姿勢を求められることが多いようです。
仕事での達成感や充実感は得られるかもしれませんが、責任を果たすために無理をしなければならない場面があるかもしれません。
また、介護関連の施設では日曜祝日の出勤が求められることがあります。
勤務時間、給与内容、業務内容など、募集内容を総合的に考えて、勤務先を選ぶ必要があります。
どの職場においてもいえることですが、育児との両立がしやすいということは、競争率が高いということでもあります。
希望に合った求人をタイミングよく見つけるには、普段から情報サイトなどで情報収集しておくことが大切です。
- 行政保健師は産休、育休が充実し、気兼ねが少ない
- 行政保健師になるには公務員試験に合格しなければならない
- 私立の教育施設では、保健師資格だけでも学校保健師になれる
- 学校保健師は施設に一人で、業務量は多い
- パート、派遣の保健師は子育てに合った勤務時間の職場を選べる
- パート、派遣では給与が低く抑えられることに注意