看護師求人は売り手市場で、転職先を探すのに困ることはありません。
だからといって転職回数が多過ぎることは、採用側にとっても看護師本人にとっても、いいことではないと考えられます。
既に転職回数が多い場合、「採用試験で不利なのでは」という不安が生まれがちです。
そこで、実際に転職回数がどのように採用に影響するのか、ポイントを押さえて解説します。
目次(もくじ)
何度も職場を変えている看護師は、転職に不利?
看護師は転職が多いイメージがありますが、実際何回ぐらい転職する方が多いのでしょうか。
調査結果の数字から見て、どのぐらいの転職回数が妥当なのかを考えてみましょう。
看護師の平均転職回数は?
厚生労働省が実施した、看護職員就業状況の実態調査によると、退職したことがない、もしくは1度だけ退職したことがある看護師は全体の7割近くであり、退職2回までの看護師を入れれば8割になります。
つまり看護師の多くは、2回までの転職に留まっているということです。
採用側も、2回程度の転職であれば「珍しくない」と感じるはずであり、多くの場合、転職回数が採用時に不利になることはない、と考えられます。
目安として、20代なら2回まで、30代なら3回までの転職であれば、問題ないでしょう。
その他のデータを見ても、1回以上転職を経験している看護師の割合は、20代で54.2%、30台で70.6%と高く、転職を経験している看護師の方が多いことが分かります。
転職回数が多いと採用に不利?
厚労省の調査結果で、3回以上退職を経験している看護師は全体の2割以下です。このような場合、どうしても採用側の目につきやすくなります。
そして、「またすぐに退職するのではないか」と判断され、敬遠される可能性があり、その傾向は、転職回数が多いほど高くなります。
極端に転職回数が多いと、書類選考さえもパスできないことがあります。求人の多い看護師であっても、決して安心できない状況です。
転職回数以外に不利になる条件は?
転職回数が「多すぎる」というほどではなくても、採用で不利になりやすい条件はいくつか考えられます。
自分に当てはまるものがあるかどうか、チェックしてみてください。
前の職場での就業期間が短い
20代で2回の転職はさほど珍しいものではありませんが、それぞれごく短期間で辞めていたとしたら、それは面接官にとって気になるポイントです。
「ちょっと注意したらふてくされて辞めるのでは」「他のスタッフと馴染めないのでは」「何かあればすぐ辞めてしまうのでは」「看護師としてのスキルが低すぎるのでは」といった疑いをもたれても仕方がないと考えられます。
ブランクがある
看護師不足の臨床現場で求められるのは、即戦力になる人材です。そのためブランクが長いという点が、採用に影響する可能性が出てきます。
ブランクがある人の中でも、これまでの職務経験が3年以下の人は要注意です。「十分なスキルが身についていない」と受け取られる可能性があります。
年齢が高い
「スキルや経験があっても、年齢が高めで柔軟性が低い看護師」よりは、「若くても適応力があり、将来的に長く勤める可能性がある看護師」の方が重宝されます。
そのため年齢の高さが「扱いづらい」という印象を与えてしまい、不利になる可能性があります。
その反面、子供の手が離れてバリバリ働ける看護師や、夜勤もできるという看護師は、40代以降であっても歓迎されます。
人柄も評価の対象です。人望が得られる人材と評価されれば、好待遇での転職を期待できます。
そのほかの条件として、小さい子供がいて急な欠勤が予想される場合や、既往歴があり体調が心配される場合、准看護師である場合などは、転職回数が多くなくても採用で不利になる可能性があります。
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転職回数が多い看護師の、面接時の注意点は?
転職回数が多い看護師の面接では、面接官の懸念をカバーするような受け答えを選び、好印象を残すことが大切です。
具体的にどのような点に注意すればいいのか、紹介します。
不利になる条件のフォローを入れる
厚労省の実態調査によれば、看護師の退職理由は、1位が「出産・育児」、2位が「結婚」、3位が「他施設への興味」となっています。
ここまでは、ライフスタイルや志望の変化など、前向きな内容です。そして4位が人間関係、5位は超過勤務と、環境・待遇面になっています。
退職理由の説明で大切なのは、「協調性、忍耐力があり、責任感がある人物」という印象を残す内容を話すことです。
「転職回数の多さには正当な理由がある」と理解してもらえるようにします。まず、1~3位までの内容であれば、そのままの言葉で伝えても悪印象になりません。
4位の人間関係が転職理由の場合、「伝えても良い範囲の事実だけを、客観的に伝える」「自分にも改善の余地があったという姿勢を持つ」のがポイントです。
例えば、「雑用ばかりを押し付ける上司とうまくいかなかった」という場合には、下記のような回答が考えられます。
「看護部長が好き嫌いで仕事を割り振るタイプで、私は手間のかかる雑用ばかりを担当させられました。
今であれば、看護部長の意図をくみ取った対応ができるのですが、当時は自分も未熟で、うまく対処することができず退職に至りました」
この説明なら、「以前の職場では難しかったけれど、今回の採用では大丈夫」という印象を残すことができます。
嘘をつくのではなく、事実をプラスの印象で伝えることが大事です。
5位の超過勤務が理由の場合、具体的な数字を挙げて、客観的に話すのがコツです。
ただ「残業が多かった」「休日出勤が多かった」ではなく、「残業が毎日4~5時間もあった」「月の休日が2~3日だった」と聞けば、面接官にも「正当な退職理由」と受け取られます。
長く勤められることを伝える
転職回数が多い応募者に対しては、面接官は「またすぐ辞めるのでは」という不安を持ちます。
つまり、「長く勤めることができる」ことを、具体的に伝えるのが大切です。
例えば体調不良での退職がある場合、「体調を崩してやむなく退職したが、現在は健診でも問題なく、十分に働ける」「自分が経験したような辛い思いをしている患者さんの力になるためにも、看護師として働きたい」と前向きに結びます。
前職で学んだことやスキルをアピールする
面接では、以前の職場で身につけたスキルを、積極的にアピールしていきましょう。
例えば、「幅広い経験を積むことを目指して総合病院に勤務していた」「手術を担当して色々なスキルを身につけた」という点をきちんと伝えたうえで、転職を志望した理由へと話を繋げます。
より良い待遇やスキルアップのために転職をするのは、悪いことではありません。とはいえ、何度も転職活動を繰り返すのはもったいないことです。
病院側の立場からすれば、採用にはそれなりのコストがかかることもあり、面接官は「出来れば長く働ける人を採用したい」と考えています。
自分自身が退職理由としっかり向き合い、その中から転職先に求めるものを見つけたうえで、転職先を探しましょう。
こうすることで、転職後のミスマッチを防ぐことができます。
転職を成功させるためにも、看護師専門の転職サイトの活用をお勧めします。
専任のコンサルタントがつくサイトを選ぶと、転職先の選定から面接時の受け答えの仕方まで、看護師転職のプロとしてのアドバイスを受けられて安心です。
- 全看護師の7割が1度以上転職を経験しており、数回の転職なら珍しいことではない
- 20代で3回以上、30代で4回以上の転職があると不利になる可能性がある
- 就業期間の短さやブランク、年齢の高さが不利になりやすい
- 面接では、不利になるような転職理由をきちんとフォローしておく
- 嘘をつくのでなくプラスの印象を残すような内容で話す
- 身についたスキルをアピールし、長く勤められることを伝える